WEB・サイト制作の全体マップ|ホームページ制作の流れを理解しよう!基本的な手順を追って解説します

Webサイト制作は、デザインを作って公開するだけの単純な作業ではありません。企画から設計、デザイン、開発、テスト、そして運用・改善まで、複数の工程がチームで連携しながら進んでいく「プロジェクト」そのものです。

ここでは、ホームページ制作の公開までの一般的なWeb制作の流れをわかりやすく紹介します。実際の現場では案件の規模や目的によって順番や作業内容が多少変わることもありますが、基本的な全体像を理解することで、よりスムーズに制作を進めることができます。

🔶 制作フローの全体像

Web制作は、大きく以下のようなステップで進んでいきます。

・ 企画・要件定義
 サイトの目的・ターゲット・必要な機能やページ構成を明確にします。

・ 設計・ワイヤーフレーム作成
 情報を整理し、ページの構成や導線を設計します。

・ デザイン制作
 ブランドの世界観やユーザー体験(UI/UX)を意識してデザインを作成します。

・ コーディング・開発
 デザインをWeb上で動く形にし、必要に応じてCMSを導入します。

・ テスト・公開
 動作確認やSEO設定を行い、本番サーバーに公開します。

・ 運用・保守・改善
 公開後の更新作業、修正作業、改善作業を行います。

📝 企画と設計 ― サイトの目的と方向性を明確にする

最初のステップは「企画・要件定義」。
ここでのヒアリングが、その後すべての工程の「設計図」となります。

クライアント(依頼者)としっかり話し合い、サイトを作る目的やターゲット層、伝えたい情報を整理していきます。

たとえば──
・ 会社の信頼感を伝えたいのか
・ 商品やサービスを販売したいのか
・ 採用情報を中心に打ち出したいのか

目的が違えば、必要なページ構成もデザインも変わってきます。

ヒアリングで確認しておくべき項目には次のようなものがあります。

・ 制作・リニューアルの目的

・ 想定するユーザー層(年齢・性別・地域・職業など)

・ 掲載したい情報(事業内容・実績・ニュース・お問い合わせなど)

・ 使用できる素材(ロゴ・写真・文章など)

・ 予算・スケジュール・希望納期

・ 競合となる他社サイトや参考デザインの共有

ここで情報を整理しておくことで、方向性がブレずに制作が進められます。
また、複数の制作者(デザイナー・コーダー・ライターなど)が関わる場合には、
全員が同じ目的意識を持つための「共通認識づくり」がとても大切です。

🗂️ サイトマップ作成 ― 情報構造を“見える化”する

ヒアリングの内容をもとに、次はサイトマップ(ページ構成図)を作ります。
サイトマップとは、Webサイト全体のページ構成をツリー状に整理したもの。
トップページを中心に、「サービス紹介」「会社概要」「お問い合わせ」などの下層ページを階層的に並べて、
全体の関係性を見える化します。

たとえば企業サイトなら以下のようになります:

TOP
── 会社案内
   └─ 代表挨拶
   └─ アクセス
── サービス
   └─ 料金プラン
   └─ 実績紹介
── よくある質問
── お客様の声
──  お問い合わせ

制作チームで作業を分担する場合、このサイトマップを共有することで
「誰がどのページを担当するのか」「どの情報がどこに掲載されるのか」が明確になります。また、進捗管理にも活用できます。

ツールとしては、Googleスプレッドシート・Lucidchart・Cacooなどが便利です。
修正や共有がしやすく、クラウド上で複数人が同時に確認できます。

📐 ワイヤーフレーム作成 ― ページの“設計図”を作る

サイトマップが決まったら、次はワイヤーフレームの作成です。ワイヤーフレームとは、各ページにどの要素(画像・見出し・ボタンなど)をどこに配置するかを線と枠で表した“ページ設計図”のこと。ここで重視するのは「デザインの見た目」よりも「情報の伝わり方・導線設計」です。

たとえば:

・ ユーザーが目的の情報に迷わずたどり着けるか

・ スマートフォンでも読みやすいか

・ お問い合わせボタンやCTAの位置は分かりやすいか

こうした設計をきちんと行うことで、後のデザイン制作がスムーズになり、
サイトの成果(お問い合わせ数・購入率など)にも大きく関わってきます。

ワイヤーフレームは手描きでもOKですが、
Figma・Adobe XD・Canva・Miroなどのデザインツールを使うと共有しやすくなります。

🎨 デザイン制作 ― ブランドの“世界観”を形にする

ワイヤーフレームが完成したら、いよいよデザインのフェーズです。ここでは、ブランドのイメージやサイトの目的を反映させながら、配色・フォント・写真・余白・レイアウトを決定していきます。

このとき作成するのがデザインカンプ(完成見本)です。実際のWebサイトに近い見た目を作ることで、クライアントと制作者の認識を合わせることができます。

見た目の美しさだけでなく、UI/UX(ユーザーインターフェースとユーザー体験)の観点も重要です。
「見やすく」「操作しやすく」「心地よく情報が読める」デザインを意識することで、ユーザーの信頼感や滞在時間にも良い影響を与えます。

💻 コーディング・開発 ― “動く”Webサイトへ

デザインが確定したら、次はコーディング・開発の段階です。
HTML・CSS・JavaScriptなどの言語を使って、静的なデザインを動くWebページに変換します。

この段階で、レスポンシブデザイン(どんな端末でも最適に表示される設計)を実装したり、アニメーションやスライダーなどのインタラクションを追加します。

また、WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)を導入する場合もここで行います。CMSを使うことで、クライアントが自分で「ニュース更新」や「ブログ投稿」などを行えるようになります。

✅ テスト・確認・公開 ― 品質を守る最終チェック

完成したサイトは、すぐに公開せず、テスト環境で細かく確認します。
主なチェック項目は次の通りです。

・ リンク切れ・誤字脱字はないか

・ スマホ・タブレットで崩れないか

・ フォーム送信が正常に動作するか

・ 表示速度が遅くないか

・ SEO設定(タイトル・メタディスクリプション・OGPなど)が正しいか

問題がなければ、本番サーバーにアップロードして正式公開します。
公開時にはSSL設定(https化)やGoogleアナリティクス・サーチコンソールの導入も行いましょう。
これにより、サイトの安全性と効果測定が可能になります。

🔧 運用・保守・改善 ― 公開後が本当のスタート

Webサイトの公開は、ゴールではなく「スタート」です。
サイトを長く活かしていくためには、公開後の運用・保守・改善のサイクルを継続的に回すことが欠かせません。

公開後も、「お知らせ」や「ブログ」などのコンテンツ更新を行いながら、常に新しい情報を発信していくことが大切です。
企業サイトの場合、更新が止まっているだけで「活動していないのでは?」という印象を与えてしまうこともあります。
最新情報をきちんと掲載することで、信頼性と鮮度を維持することができます。

また、運用には技術的な保守も含まれます。
WordPressなどのCMSを利用している場合、定期的なセキュリティアップデートやプラグインの更新が必要です。これを怠ると、脆弱性を突かれて不正アクセスやデータ漏洩につながるリスクが生じます。そのため、月に一度程度は更新の確認やバックアップを取り、安全性を保つ体制を整えましょう。

さらに、アクセス解析(Google AnalyticsやSearch Consoleなど)を活用して、「どのページがよく読まれているか」「ユーザーはどのページで離脱しているか」などを分析します。その結果をもとに、導線を改善したり、文章や画像の内容を調整したりしていくことで、より成果の上がるサイトへと成長させることができます。

そして、サイトは長期間運用していると、デザインの古さや情報構成の不整合が目立つようになります。3〜5年に一度はリニューアルを検討し、時代のトレンドやデバイス環境に合わせた最適化を行うのが理想です。

このように、Webサイトは「作って終わり」ではなく、運用を通して少しずつ育てていく“生きたメディア”です。定期的な見直しと改善を積み重ねることで、サイトはより信頼され、成果を出し続ける存在になります。

🙋‍♀️ まとめ

Webサイト制作は、ヒアリング → 設計 → デザイン → 開発 → 公開 → 改善という一連の流れで成り立っています。単にページを作るだけではなく、企画から運用までの全体像を理解することが、成果の出るサイト制作には欠かせません。

各工程は独立しているようで、実は密接につながっています。
ヒアリングで得た情報が設計に反映され、設計をもとにデザインが作られ、デザインを忠実に形にすることで開発が進みます。
さらに公開後の運用や改善を行うことで、サイトは初めて本当の価値を発揮します。
このように、制作はチーム全体でリレーのようにバトンを渡していく作業であり、各工程を丁寧に進めることが最終的な品質につながります。

今回紹介した流れはあくまで一例ですが、全体像を理解しておくことには大きな意味があります。
依頼者と制作者が共通の言葉やイメージを持つことで、打ち合わせや修正依頼のやり取りがスムーズになり、認識のズレや手戻りを減らすことができます。
また、制作側も「次に何が必要か」「どの工程が重要か」を意識しやすくなるため、計画的に作業を進められます。

Web制作は決して一度の作業で完成するものではなく、**「小さな積み重ねの集合体」**です。
サイトの目的を達成するためには、情報整理・設計・デザイン・開発・テスト・運用と、すべての工程を丁寧にこなす必要があります。
どれか一つの工程をおろそかにすると、ユーザー体験や成果に影響が出てしまうため、各段階をしっかり確認しながら進めることが重要です。

さらに、Webサイトは公開してからが本当のスタートです。
定期的な更新、アクセス解析に基づく改善、セキュリティやCMSの保守などを続けることで、サイトは時間とともに価値を増していきます。
「完成=終わり」ではなく、**改善を繰り返すことで成長する“資産”**として捉える意識が、長期的な成果につながります。

制作をスムーズに進めるためのポイント

スケジュール管理にはガントチャートやWBSを活用する
・ 工程ごとに担当者と期限を明確にすることで、作業の遅れや無理を防げます。
・ 複数の案件を同時に進める場合も、全体の進捗を可視化できるため、チーム内の混乱を減らせます。

チェックリストで品質を担保する
・ テストや公開前に確認項目をリスト化することで、漏れやミスを防ぎます。
・ 特にリンク切れ、フォーム送信、画像表示、スマホ対応、SEO設定などは必ず確認しましょう。

確認・修正にかかる時間を事前に見込む
・ 企業案件では社内承認や上層部の確認に時間がかかることがあります。
・ スケジュールに余裕を持たせ、修正や調整の時間をあらかじめ確保しておくことが安心です。

「完成=ゴール」ではなく「改善=成長」と考える
・ Webサイトは公開後も育てていくものです。
・ アクセス解析やユーザー行動を見ながら、少しずつ改善を重ねることで、成果を最大化できます。

Web制作は、各工程を丁寧に進め、次の担当者へスムーズにバトンを渡すことで、初めて「伝わる」「成果が出る」サイトが完成します。
依頼者・制作者の双方が全体像を理解し、共通認識を持つことが、プロジェクト成功の鍵です。この意識を持って取り組むことで、サイト制作のクオリティと効率を大きく向上させることができます。

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